日常で電車を使っていると、いろんなことに遭遇しますね。
ささいなこと、感心すること、うれしいこと、もやっとすること…
今回もまた駅での出来事です。
ある日の会社からの帰途、電車を降りたあと大勢の人の流れに乗って改札へむかっていたところ後ろからトントンと肩をたたかれたので振り向きました。すると20代くらいと思われるスーツの男性が
「あの、これ落とされましたよね」と言いながらあるものを差し出しました。
それはダッカールピンと呼ばれるピンの一種でした。美容院や自宅内などで使われる簡素な作りのアルミのピンです。
心当たりのないわたしは一瞬『えっ…』と思ったのですが、その反応で彼の顔に『あ、この人のではなかったのかな』という表情がよぎりました。
雑踏の中、わざわざ前の人が落としたピンを拾い、追いかけてその人に声を掛けるというわりとハードルの高い行動を起こしたのに、それが別人で「いいえ、違いますよ」と言われる気持ちはいかばかりか。
今後その人の人生で同じような場面に遭遇したときに今回のわたしの反応が原因で少しでも躊躇してほしくなくて
「ああ、ありがとうございます」(ニコッ)と手をだして受け取りました。
もちろんそれが高価なものだったり貴重品かもしれなかったら迷わず駅員さんに届けることを勧めたと思います。
だけどこれはダッカールピン。
声を掛けられて返事するまでの時間約0.7秒、その間に上記の考えをめぐらし断るか受け取るかの判断を下しました。
これで将来ある若者の善行に報いることができたのかなという満足感があった半面、この瞬発力はなぜか仕事には発揮されないのよね、と残念な気持ちも抱いたものです。
ちなみにそのピンは、何となく捨てるのもはばかられて我が家の洗面所で使われることもなく保管されています。
posted by M.Y